11月3日に大阪府医師会創立59周年記念式典が開かれました。59周年と言うのは何とも中途半端な感じがしますが、毎年行われていることなので、こういう名前になってしまうのでしょう。
表彰などの記念式典の後、国立循環器病センター総長の北村惣一郎先生による記念講演が行われました。演題は「日本の医療の問題点 医療の質の向上と専門医育成の立場から」と言うものでした。
この講演で北村先生は、今日本では専門医の必要性が叫ばれてはいるものの、各々の病院、大学で研修医終了後の専門医育成のプログラムが異なり、日本全体での共通したものはない為、専門医の質の均一性が担保できないこと、又質の評価も医師が客観的に行うものではないので、評価が難しいこと等をお話されました。
例えば同じ手術をしても、状態の良い患者さんばかりを手術すれば、良い結果が得られるでしょうし、緊急の、状態の悪い患者さんばかりを手術する救急診療所では余り良い結果は出ません。その結果だけを見てこちらの医師、医療機関は名医だが、あちらはもうひとつだと言う事にはならない事は、当然でしょう。アメリカのある州では実際、医師の名前を出した、手術の成績一覧、と言ったものがインターネットで公表されているそうです。しかしその結果、成績を良くするために状態の悪い患者さんは拒否する、または手術成績をインターネットで公表していない隣の州へ何時間もかけてその患者さんを送ると言った事がおこっているそうです。
北村先生は、成績を公表する事は患者さんの利益になる事なのでそれを認めるにしても、成績の評価を、単に手術の結果ではなく、患者さんの状態などを公平に判断できる医療関係者が行うことの重要性を話されました。ただこの様な事を現在の少ない医療費の中で行うことは、とても出来ません。政府は、国民の健康を保証するため、専門医育成にもっと本腰を入れ、財政面でももっとバックアップをすべきだ、と話されました
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白 江 医 院 白江 淳郎
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