11月12日大阪府医師会医学会総会が開かれました。この総会では、府下の色々の診療所からのパネルによる発表や、特別講演が行われました。
興味のあった講演は、これまで暗黒大陸と呼ばれていた小腸の検査がカプセル内視鏡を使う事で簡単に行えるようになったと言うものでした。小腸は口からも肛門からも遠く長さも7メートルもあり、しかも曲がりくねっているという検査の非常にしにくい臓器です。そこに11mm×26mmの大きさのカプセルの中にカメラが入っている内視鏡を、薬を呑む要領で少量の水で飲み込み、お腹の上につけているセンサーでそのカメラの送ってくる画面を取り込むのです。そしてそれを再生し、診断します。写真は1秒間に2枚写せ、電池が8時間くらい使用可能なので約5から6万枚の内視鏡写真が撮影されるのだそうです。この写真を全て読む事は大変な作業ですが、画像解析ソフトを使ってコンピューターで解析するのだそうです。それでも全ての写真をチェックするのに二時間位はかかるそうです。
小腸用カプセル内視鏡の最大の適応は、原因不明の消化管出血で、これまで上部、下部内視鏡検査で出血源が不明のもので、出血源が不明のまま手術に踏み切っていたようなものでも診断がつくことが多いとの事です。又面白い発見は、鎮痛薬で胃粘膜の障害が起こりやすい事は知られていたのですが、小腸粘膜にも出血を起こす事が結構あることが分かってきた事です。
この様に有用な検査方法ですが、まだ診療報酬では認められていないこと、行っている施設が、大阪では市立大学附属病院、大阪医科大学附属病院などごく少数であることなどで、今の所手軽に受けられる検査ではない事が残念な所です。また電池の寿命を延ばす、カプセルの流れるスピードを調節する等の、技術の改良も必要となって来るでしょう。 白 江 医 院 白江 淳郎
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