毎年冬になればインフルエンザの流行が起こります。3年前は12月頃より1から2月をピークに3月いっぱい続きました。一昨年は半月ほど遅れて始まり主流ウイルスはA香港型H3N2型でワクチンや抗ウイルス薬が良く効きました。昨年は1月後半より始まりインフルエンザのB型で特効薬であるタミフルも効き目がやや悪かったようでした。
インフルエンザウイルスは抗原性により3つに大別されます。A型とB型はヒトに感染して流行を起します。C型はヒトに感染しますが大きな流行は起しません。特に歴史的にはA型が大きな流行を起します。このA型は持っている2種類の蛋白HAとNAで型が分けられます。現在分かっているのはHAが15種類、NAは9種類です。これらが組み合わさって多数の抗原性の異なったものがヒト、ブタ、トリなど多くの宿主に広く分布しています。したがって少しずつ異なったA型インフルエンザが出現します。このためヒトの免疫機構に合う程度の変化であれば流行は少なくて済みますが、突然全く新しくフルモデルチェンジをされると世界的流行を引き起こします。
1918年のスペイン風邪のウイルスはH1N1型で、このとき全世界で患者数6億、死亡者2000から4000万人といわれ、わが国へは1919年から1920年の冬に持ち込まれ罹患者2300万人、死亡者は38万人に及びました。最近問題となった高病原性トリインフルエンザはH5N1型です。このトリインフルエンザはトリからヒトへはまれに感染しますが、ヒトからヒトへは感染しないと言われております。ただインフルエンザウイルスは変異しやすいのでいつかヒトからヒトへ感染するタイプに変異するのではと懸念されております。
山 鳥 医 院
山鳥忠郎
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