藤井寺市医師会は、市民の皆様の健康のため、藤井寺市と来年度からの「マンモグラフィ併用乳癌検診」実施実現を交渉中です。
日本人の乳癌罹患率は年々上昇し、女性の癌としては最も多い癌である。また、乳癌死亡数も年々増加し、30歳から64歳の女性の癌死亡数の第1位である。乳癌の発症年齢のピークは45歳から49歳であり、閉経前の乳癌が多いことが、我が国の特徴である。欧米のように、乳癌死が多くなってから対策を開始するのでは遅く、乳癌対策は急ぐべき課題である。その乳癌死を抑制するためには、死亡率減少効果のある検診を行い、早急に乳癌死亡率上昇の抑制を図る必要がある。
乳癌検診の目的は乳癌の死亡率減少である。従って、乳癌発見率が高くても、乳癌死亡率減少効果のない検診は意義がない。
がん検診の適正化に関する調査研究事業では、視触診単独乳癌検診では、無症状の場合には検診発見乳癌の生存率が病院で診断された乳癌より高いことが示唆されるが、死亡率減少効果がない。(表(1))一方、MG併用検診については、50歳以上、更に、40歳台でも、死亡率減少効果を示すとしている。(表(1))
平成12年3月31日、老健第65号「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」の一部改正で、「50歳以上の女性に対しては2年に1回のMGと視触診による検診を原則とし、50歳未満の女性に対しては年1回の視触診を行う」という通達があった。この結果、乳癌検診の基本は、従来の視触診単独から、MG併用検診と大きく変化した。しかし、同じ通達の中で、「地域の実施体制などを勘案して、MG検診を実施しない場合、年1回の視触診をする」としていたため、乳癌検診の主体は依然視触診であると考える自治体が多かった。(表(2))ところが、平成16年3月、厚生労働省のがん検診に関する検討会は、老人保健事業に基づく乳がん検診及び子宮がん検診の見直しを行い、MGによる検診を原則とし、検診対象年齢は40歳以上、検診間隔は2年に1度とするなど、乳癌検診の中心はMGであることを明言した。(表(2))従って、全ての自治体で乳癌検診をMG併用検診にする必要がある。
表(1)
表(2)
数尾診療所 数尾 展 |