最近マスコミで、インフルエンザの治療薬である、タミフルを服用した後に出現する異常行動が、よく取り上げられています。先日第38回日本小児感染症学会が開かれ、そこでもこの問題に関する発表が行われました。
国立三重病院から行われた発表で、昨年のインフルエンザシーズンに入院した、生後5日から15歳にわたる50人の患者さんを対象にしています。入院理由は異常行動が14人で最も多く、次いで熱性痙攣が12人でした。この異常行動は、学童や、幼児に多い傾向があり、又その出現時間は発熱から24時間以内が14人中10人と、熱の出始めに多い事が分かりました。
この異常行動を起こした、14人のうちタミフルを投与されていた方は、12人おられました。他の2人は、他の種類の薬剤を投与されていました。これらの薬剤を投与される前から、異常行動を起こしていた人は、14人中6人おられました。投与後異常行動を起こした8人では、インフルエンザ治療薬が、発熱後12時間以内に投与開始されることが多かったので、結果的に投与後に異常行動が出現したと考えられています。又これらの異常行動は、タミフルを処方され、その初回の服用後には認められても、2回目以降に服用した時には、認められませんでした。
これらの異常反応を起こした方に対して、様々な検査を行った結果、ほぼ異常なものは認められませんでしたが、脳波検査を行った4人全例に、一週間以内に回復する、軽度の異常が認められました。
これらから発表者は、「異常行動の主な原因はインフルエンザ ウィールス感染に伴う、一時的な脳機能異常と考えられる」と述べました。
別のコラムでも述べましたが、インフルエンザに感染すると、ある程度の率で異常行動が発生します。逆に言えば、それ程インフルエンザと言うのは怖い病気です。タミフルを処方する医者は、その怖さを知っているので、少しでも合併症を防ぎたい、早く治癒して頂きたいと考え、タミフルを処方するのです。或る医療ジャーナリストが言っているように、薬を処方すれば儲かるから、などと言うような了見で処方しているのではありません。
皆さんは不安があれば、納得いくまで主治医にご相談下さい。
白江医院 白江 淳郎
|