今年の4月から高齢者の医療の確保に関する法律に基づき、従来の住民健診が一部変りました。この健診の目的は従来の病気の早期発見から、むしろ病気の予防へ重点を置いたものです。但し、特定とあるのはメタボリック症候群に限ってという意味のようで、他の病気はこの健診には含まれません。というのも、メタボリック症候群は高血圧症、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病につながり死亡原因の1/3を占める脳血管疾患や心臓疾患に至りやすくなります。また、昨今急増している糖尿病は進展すると腎透析や失明をおこし多大な医療費を要することになります。これらの病気を予防し減少させ医療費の削減をしようと的を絞った健診のようです。
さて、この特定健診は40歳から74歳を対象にメタボリック症候群の診断基準を定めています。まず、臍周りの腹囲が男性85cm女性90cm以上あり、さらに血圧,血糖、脂質の基準があります。その基準も予防が重点のため従来の正常高値でもこの基準では異常に数えられます。たとえば、収縮期血圧は130mmHg以上、拡張期血圧85mmHg以上は異常です。また、空腹時の血糖値も100mg/dl以上またはHbA1cで5.2%以上が異常となります。脂質については中性脂肪150mg/dl以上または善玉のHDLコレステロールが40mg/dl以下が異常となります。腹囲が基準を超えかつ血圧、血糖、脂質の2項目以上に異常があればメタボリック症候群と判定され、1項目であればメタボ予備軍となります。この他に、問診による既往歴や既に受けている治療の有無、喫煙の有無や肥満度が考慮されます。この結果メタボリック症候群と判定されますと64歳以下の方には引き続き特定保健指導の積極的支援が行われます。まず、個々人の面接により生活習慣の改善点を見出し、改善計画をたて、3ないし6か月にわたり数回にわけ達成度を評価し、指導したり励ましたりということで日常生活での行動変容が求められます。また、メタボリック症候群の予備軍と判定された場合も個々の面接により生活習慣の改善を目指す動機付け支援が行われます。勿論、異常値の程度によっては「医療機関への受診がすすめられます。」が行われます。これらはそれぞれが所属する医療保険者が責任を持って行い、その成果は5年後の平成25年以後の高齢者に対する特定保険への拠出金額の増減に反映され各人の負担する保険料が増減する仕組みが用意されています。さらに、特定健診の不足部分を補う藤井寺市の住民健診が7月より始まります。合わせて受けることで病気の早期発見と予防に役立て下さい。
清水医院 清水 稔
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