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長引く咳

 外来で咳が長引いて止まらないという患者さんをよく見かけます。就寝時や深夜に咳き込んだり、エアコン、タバコの煙、電話中や運動時に咳が出だして止まらなくなったりする人が多いように思います。しかし多くの人はその原因が病院にかかってもはっきりせず、数週間後には自然に止まることが多いようです。では何故原因がはっきりしない場合が多いのでしょう。それは咳の原因疾患が風邪をはじめとする呼吸器感染症、慢性閉塞性肺疾患、肺癌、喘息などの呼吸器疾患の大部分、誤飲や耳鼻科領域の咽頭喉頭疾患、逆流性食道炎などの消化器疾患、心不全などの心疾患、薬剤によるものから心因性の咳と数多くあり、また風邪が誘引となり喘息が発生したり、鼻アレルギーから蓄膿になり咳が長引たりとその要因が複雑に絡み合うからです。

 咳の原因で最も多いのは感染症と言われています。風邪や気管支炎もそうですが、結核や肺炎なども含まれます。結核は最近患者数が増えていますし、マイコプラズマ肺炎などは、発熱の後に長く咳が続くのが特徴です。のどのいたみや発熱、痰などを伴う咳が続くなら医療機関を受診し、診察をうけ胸部のレントゲンや採血をしましょう。特にレントゲンは重要です。それは肺癌や心不全等の感染症以外の胸の病気や、子供さんの異物誤嚥でも主たる症状が咳のことがあるからです。

 呼吸器感染症が原因の咳は、8週間以上続くことはいくつかの例外を除いてまれと言われています。例外の1つに成人の百日咳があります。子供の頃に接種したワクチンの効果が薄れた大人が百日咳にかかるのですが、子供の百日咳と違うのは、百日咳特有の症状や検査結果は示さず、軽症のため診断が難しいことです。そのため感染源が放置されるのが問題です。血液検査で百日咳の抗体をチェックして診断されていますがこれでも十分とは言えません。

 呼吸器感染症以外で8週間以上続く慢性的な咳の原因は、主に3つと言われています。1つは気管支喘息と咳喘息、特に咳喘息は、気管支喘息と違いゼーゼーという呼吸音は聞かれず呼吸困難も強くなく、乾いた咳が深夜、早朝、就寝時にみられます。2つめはアトピー咳嗽と言われる咳です。症状だけでは咳喘息とにており、ゼーゼーという呼吸音も聞かれず呼吸困難も強くなく乾いた咳が続き、エアコンや電話等の会話、運動で咳が出やすくなります。両者の区別は専門の施設で検査をすればつくそうですが、一般には喘息の治療をしてみてよくなるなら咳喘息を疑い、改善されなければアトピー咳嗽を疑うとされています。両者ともアレルギーが原因とされていますので、治療には吸入ステロイドが使われます。3つめは気道の粘液腺毛運動が障害され、病原体が定着することでおきる副鼻腔気管支症候群です。蓄膿に感染が起こった状態で、先ほど書いた呼吸器感染症の例外の一つともいえます。痰を伴う湿性咳が特徴で、のどの奥に感染した汚い痰が流れ落ち咳がでます。

 これ以外にも慢性閉塞性肺疾患は長期間の喫煙のため肺が障害されて起こる病気ですし、胃酸が食道に逆流して咳が起こる場合もあります。またある種の降圧剤は咳を誘発します。様々な原因で起こる咳ですが、以前に比べてかなり原因がわかり対処方も進歩しております。たとえ軽い咳であっても続く場合は一度最寄りの医療機関でご相談ください。

白川医院  白川 親


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