「のどがつまる感じ」「のどに何かできているのではないか」といった違和感、異物感、圧迫感など、のどの異常感は耳鼻咽喉科を受診される患者さんによくある症状です。
原因となる疾患は多く、3つに大別できます。
1. 局所的原因
鼻炎 副鼻腔炎 扁桃炎 咽喉頭炎など鼻やのどの炎症
アレルギー性鼻炎を代表とする鼻やのどの過敏症
のどの腫瘍
逆流性食道炎 食道憩室など食道や胃の疾患
扁桃肥大 口蓋垂過長などの形態異常
のどの異物
甲状腺腫瘍など甲状腺疾患
唾液腺分泌異常
2. 全身的原因
自律神経失調症 内分泌異常 更年期障害 貧血など
3. 精神的原因
うつ病 神経症 がん不安など
のどはとても敏感なところですので、いろいろな原因で多彩な症状が起こります。
しかしのどの異常感を訴える患者さんのうち、大半は「訴えに見合うような病変」が検査をしても見つかりません。このように「十分な検査をしても原因となる病気がないのに、のどに異常感がある場合」を「咽喉頭異常感症」と呼んでいます。症状としては「のどに何か引っかかっているような感じ」「のどに何かできているような感じ」といった異常感で、唾を呑みこんだ時に感じ、食事の時はあまり感じません。こういう患者さんの多くは神経が過敏だったり、ストレスや悩みといった心因的要素が関係していると考えられています。
ただ現時点では何も問題点が見つからなくても、何ヶ月かの後、重大な病気が表面化してくることも稀にあります。病変が小さすぎたり、極めて観察しにくい場所にある場合です。特に「食べ物を呑みこんだ時に抵抗がある」「呑みこんだ時に耳に響くような痛みが続く」といった症状は要注意です。のどから胃までの通路である食道は、のどから直接見えるところではないので胃カメラが必要です。このため内科や外科など耳鼻咽喉科以外の科を受診して病気がわかることもあります。
いずれにせよ症状が持続するようなら定期的に通院して診察を受けることも大切です。 たかの耳鼻咽喉科 野 啓江 |