肩関節痛を主訴に来院される患者さんがまず口にされるのが「これって五十肩ですかね」といわれます。五十肩というのは一般的に名前の知られた病名で、実際にかかられる方も多い病気ですが、肩関節痛のある方の中には実際には違う病気である方もたくさんいらっしゃいます。。そこでここでは肩関節痛を主訴とする代表的な病気である、腱板断裂についてご説明させていただきます。
腱板断裂
体の中で一番大きな可動性を有する関節である肩関節ですが、その可動性を有するために一方では脱臼しやすい関節です。この関節の安定をさせるために重要な働きをしているのが腱板です。この腱板が、外傷や加齢性による腱の変性などによって断裂することによって起こる病気です。
この腱板断裂の頻度は50歳代では10人に一人80歳代では3人に一人とかなり高い割合で存在しますが、症状のない無症候性の腱板断裂がその半分以上を占めています。肩を動かした時に痛い、夜間(就寝後)に疼痛があることが特徴的ですが、これは五十肩とも共通しています。五十肩との違いは、五十肩では肩関節を上げていくほど疼痛が強くなり、ある高さまでしか挙がらなくなりますが、腱板断裂では肩関節を挙上していく途中に疼痛がありますが、完全に挙上することが可能です。治療法は年齢によって異なります。変性によって起こる中高年の腱板断裂については鎮痛剤投与、リハビリ、関節内注射などを行うことにより治療します。一方、外傷やスポーツによって起こる若年性の腱板断裂は、積極的に手術を行い治療します。
五十肩と思ってマッサージなどを受けられている方は、一度受診をお勧めします。
竹口クリニック 竹口 輝彦
|