1年に1度以上の頭痛を経験している方は、成人の約4割おられます。そのため、薬局、薬店では、たくさんの頭痛薬が売られています。ところが、自分の頭痛の特徴や治療法などを理解し、適切に痛みに対処されている方は少ないようです。
「くも膜下出血」「脳腫瘍」「髄膜炎」など命にかかわる頭痛は、決して多くはないのですが、放っておいてよいものではありません。
50歳以降におきた頭痛。毎日徐々に強くなる頭痛。今まで経験したことがないような痛みの頭痛。「高熱」、「手足のしびれ」、「言語障害」をともなう頭痛の場合、専門の医療機関を受診することをお勧めします。
実際、頭痛で困っておられる方は、市販の鎮痛剤を飲んで、頭痛が和らぎ、飲む頻度も1ヶ月に2回以内であれば、そのまま鎮痛剤を飲み続けてかまいません。
しかし、市販の薬では、効果がなかったり、飲む回数が、毎月3回以上になると、適切な対処が必要になってきます。
頭蓋骨の中に明らかな異常がないのに、しばしば起こる頭痛の代表は、片頭痛と緊張性頭痛です。吐き気をともなう、ズキンズキンとした、寝込むほどの激しい痛みが、1ヶ月に1-2回、4時間から3日ほど続く頭痛が、片頭痛です。また、肩こりをともなうことが多く、朝か夕方に何日も続く、寝込むほどの痛みではない締め付けられるような頭痛が、緊張性頭痛です。片頭痛は約800万人、緊張型頭痛は2,200万人といわれています。
片頭痛は20-40代の女性に多く、50歳代以降徐々に頭痛が消失していきます。仕事や家事、子育てなどに忙しい女性にとって、できれば寝込むほど強い頭痛は、避けたいものです。
この寝込むほど強い頭痛(片頭痛)に対して、市販の鎮痛剤は効きません。その代わり、“特効薬”といわれる「トリプタン」というお薬があります。トリプタンの効果を確実に得るためには、使うタイミングが大切です。
片頭痛のある方は医療機関で処方してもらったトリプタンを常に身につけておいてください。そして、「頭を振ってみる」「おじぎをしてみる」などの軽い刺激で頭痛を感じたら、「トリプタン」を使うタイミングです。また、トリプタンで効果が不十分な場合、鎮痛剤を一緒に飲んだり、吐き気、嘔吐をともなう場合、吐き気を抑える薬(制吐)飲むと効果的な事があります。
市販の鎮痛剤やトリプタンを月に10日以上3ヶ月飲み続けると、頭痛の回数が増えたり、痛みが強くなったりすることがあります。薬剤乱用頭痛とよばれるもので、鎮痛剤の飲みすぎが原因です。薬物乱用頭痛の予防のためにも、鎮痛剤やトリプタンを週2回以上使われる方は、片頭痛の予防薬を使うことも必要です。
予防薬は、カルシウム拮抗薬、抗うつ剤、β遮断薬、抗てんかん薬などさまざまなものがあり、人によって、効果がみられる期間や飲む量も異なります。医療機関を受診し指導を受けることが大切です。
(医)ときよしクリニック 時吉浩司 |