かぜ(風邪)は、日本人で年に5〜6回ほど引くと言われるほどなじみ深い病気です。
しかし、かぜとはいったいどんな病気と聞かれて、鼻水、鼻づまり、咳痰、のどの痛み、発熱などの症状はご存じでも、実際にかぜの正体は、ウイルスが体に侵入し起こる病気という事をご存じの方は少ないのではないでしょうか。また、かぜの中には軽い症状から高熱を出すインフルエンザまで、色々な症状を引き起こすので、これらを総合して医学的には、かぜ症候群(以下、かぜと称します)と呼んでいます。
かぜをひいたとき、ウイルスがどこにとりつくかで、症状も異なります。
まず、空気の取り入れ口である鼻が一番とりつかれやすく、「鼻かぜ」で始まる事が多いのです。代表的な症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまりです。この時期に薬を飲んで、無理をしなければ2〜3日で治ることが多いのですが、ここで無理をしたり、軽い症状だと馬鹿にし健康な時と同じ生活をしていると、ウイルスは奥にあるのどに向かって侵入していきます。こうなると、のどの痛み、のどが腫れる、声がかすれる、等の症状とともに体がだるい、食欲が落ちる、熱も出る等の症状が出てきます。ここで皆さんひどくなってきたと思い診療所に行く方も多いのではないでしょうか。
しかしこの状態でも、軽いと思って放置したり、治療を受けずに無理したり、十分に養生しないと、さらに奥の気管支や肺にウイルスが侵入し、咳も激しく、痰がでるようになり、熱は一層高くなり、全身症状も強くなります。ひどい場合には、肺炎になることもあります。時には抵抗力が弱まり、別の病気になったり、持病の悪化などを引き起こすこともあります。先祖からの経験で得た知恵でもある「かぜは万病のもと」とは、医学的にも正しいと言えるでしょう。
職場や学校では、「かぜぐらいで休むのはちょっと」と思わずに、堂々と「少しかぜ気味なので早く帰ります」と言い2〜3日早引けさせてもらう方が良いと思います。
寒くなり、インフルエンザが流行る時期になってきました。現在はインフルエンザを予防することは、重要な役割であり、インフルエンザに罹った人も、しっかり治して他の人に移さない事が重要とされています。例えば、インフルエンザになりタミフルのどのお薬を飲んで、2〜3日後に熱が下がっても、インフルエンザウイルスは5日間、咳やクシャミなどで体外に排出されます。熱が下がったからといって、会社で仕事をしたり、学校で勉強したりすると、他の人にうつす可能性が非常に高くなります。くれぐれも医師の指示に従って体を休めて下さい。
最後に「咳エチケット」とは? 他の人への感染拡大の防止のための「エチケット」です。
○咳・くしゃみが出たら、他の人にうつさないためにマスクを着用しましょう。
マスクをもっていない場合は、ティッシュなどで口と鼻を押さえ、他の人から顔をそむけて1m以上離れましょう。
○鼻汁・痰などを含んだティッシュはすぐにゴミ箱に捨てましょう。
○咳をしている人にマスクの着用をお願いしましょう。
(医)鳥居医院 鳥居裕一朗 |