いま女性の妊娠する年齢は35歳以上が約20%、30歳以上は約60%になっています。
これは女性の社会進出もあり、結婚が先送りされていることも密接に関係していると考えられています。名古屋市の調査では「いつか子供を持ちたい」女性は91%おられますが、「いくつまで自然妊娠できると思うか」との質問には、実に37%の女性が「45〜60歳」と答えています。平均的には実際は45歳以上の出産は困難でありますが、月経のある間は妊娠出来ると誤解されている方も多いのです。
妊娠出来難くなるのは「卵子の老化」が主要な原因です。卵子は補充されることはなく減少の一途をたどります。女性が胎児で母親のお腹の中にいるとき、妊娠5か月には片側の卵巣だけでも700万個の原始卵胞がありますが自ら消滅をしていきます。お誕生のころには100万個に減少し、初経のころには約40万個になります。それからは毎月1000個ほどの原始卵胞が成長し、排卵される1個以外は死んでいきます。50歳ころの閉経が近づくころには1000個以下になります。さらに37〜38歳ころを境に原始卵胞の減り方はひどくなり、排卵の確率は低くなってしまいます。また年齢とともに、正しい数のDNAをもらえない「老化した卵子」が増えてきます。この結果、高齢妊娠ではダウン症などの染色体異常が増え、流産率が上がり、不妊症の率も上がります。
このような医学的知識もしっかりもって、事情が許すなら「卵子の老化」が進む前に妊娠されることを強くおすすめします。
平松産婦人科クリニック 平松 惠三 |